2025年1月23日、幕張メッセにて、「ドローンショー業界の今と未来」が分かる2日目のトークセッションが実施されました。
本記事では、「アントレプレナーとしてのドローンショー・ジャパン代表山本」をテーマに、山本氏の母校である東京工業大学の元学長・益一哉氏と山本氏の対談をまとめています。
株式会社ドローンショー・ジャパンは、日本で唯一、ドローンショー専用機体の開発・製造を行う企業です。
代表取締役の山本雄貴氏は東京工業大学を卒業し、ゼロからドローンショー事業を立ち上げたアントレプレナーの一人です。
アントレプレナーとは、新たな事業を創出する起業家や事業家、創業者のことを指します。
ドローンショー・ジャパン代表山本の経歴と東京工業大学の関係

1月23日(木)、東京工業大学の元学長であり、現在はAI融合技術ビジネス開発グローバル研究センターG-Quadsセンター長を務める益一哉氏と、株式会社ドローンショー・ジャパンの山本雄貴を含めたトークセッションが行われました。
山本氏は、2006年に東京工業大学工学部知能システム工学科を卒業後、2020年に株式会社ドローンショー・ジャパンを設立し、国内で唯一のドローンショー専用機体の開発・製造や、日本全国で多数のドローンショーを開催しています。
また、2024年には東京科学大学(旧東京工業大学)が運営するインキュベーションスタジオに、株式会社ドローンショー・ジャパンの東京本社を開設しました。
ドローンショー・ジャパンは、東京工業大学より「東工大発ベンチャー」の称号を授与

株式会社ドローンショー・ジャパンは、2024年9月27日(金)に東京工業大学より「東工大発ベンチャー」の称号を授与しました。
「東工大発ベンチャー」とは、東京工業大学の研究成果や人的資源を活用して創業された企業に対して授与される称号です。
東京工業大学は、明治政府が日本の製造業を模索する中で、工業の専門技術を持った人材の育成を目的として設立されました。
また、2024年には東京医科歯科大学と統合し、名称を「東京科学大学」に変更しました。
同大学は、これからの産業をどのようにしていくか考え、「理工学を再定義する」というのが目的であり、物作りをどうするか、産業をどうやって作るかが大きな目標になっています。
「東工大発ベンチャー」の称号を受賞した時の気持ち
2024年9月27日(金)、「東工大発ベンチャー」の称号を受賞したことに対し、山本氏は以下のように語りました。
「20年近く前に卒業した母校からこういった賞をいただけたことは純粋に嬉しく、今後企業として大学など教育機関にどう連携していくかを考えるきっかけにもなりました。」
エンターテイメントが学術を動かし、新しいビジネスを作り出す時代になったと益氏は語ります。
山本氏は、
「エンタメを作ってみて思ったのは、どこまでこだわり続けられるか、そのこだわりが上手くはまったとき人に感動を与えるものになるということです。
その高みを目指すには、必ず技術の進歩が必要になるので、エンタメを通して、技術進歩の研究に携わりたいという若い人が増えてくれると良いなと思います。」
とコメントしました。
益一哉氏が考えるアントレプレナーとしてのドローンショージャパン代表山本はどういう印象?

益氏は、アントレプレナーとしての山本氏について次のように語りました。
「山本氏に対する印象について、アカデミアの視点から見ると、学問の進歩は一方向からの視点だけでは成し得ず、多方面からの視点が必要だと感じています。
これは、例えば明治時代の製鉄業において「産業は学問の道場である」と語った本田光太郎の考えにも通じるものがあります。
同様に、エンターテイメントも新しいシステムを生み出す場として学問の道場となり得ると考えています。
東工大のような環境では、特定の分野に深く集中することが一般的ですが、山本氏のように多様な視点を持つ人がいることに驚きました。
また、技術の活用方法を探る場として展示会などがあり、そこでは一見すると実現不可能に思えるアイデアも多く見られます。
しかし、こうした試みがあるからこそ、エンターテイメント分野でより面白いことができるのではないかと感じます。
学術的な視点から見ても、こうした多様な発想が交わる場こそがイノベーションの鍵になると考えています。」
東京工業大学との産学連携で今後やっていきたいこと
東京工業大学との産学連携で今後どのようなことをやっていきたいか、今後のものづくりの在り方について、有限会社スワニーの橋爪氏が飛び入り参加し、3名での対談が行われました。
物は価値を生み出すが、ただ物を作るだけでは価値は生まれないという益氏のコメントに対し、橋爪氏は以下のように語りました。
「物だけ作っていては、コストだけで判断されてしまい勝ち目がありません。
メイドinジャパンは最低限で、物に物語をつけなければいけない時代がやってきて、それがエンタメなのではないかと思います。」
それに対し、山本氏は、
「大前提、人は感動したい、楽しく過ごしたいという欲求があり、それをわかりやすくするとエンタメだと思っています。
当然、利便性としての技術革新がありますが、それだけではなく、なぜ生まれたのかというストーリー性に人は感動を感じるため、そういった物語やコンテンツをどんどん発信していきたいと考えています。」
とコメントしました。
橋爪氏は、「何のために物を作っているのか、何のための会社なのか、原点に戻ることが大事」とコメントし、それに対し益氏は「大学も、そもそも何のためにあるのかと常に問いかけなければならない」と話しました。
ドローンショー・ジャパンとして山本の母校(東京工業大学)のためにしたいこと
ドローンショー・ジャパンとして母校(東京工業大学)のためにしたいことについて、山本氏は次のように語りました。
「どういったことができるかはまだわかりませんが、理工学の最先端については、こうやって話しているだけでは広まっていかないと考えています。
発信することで理解や共感を得られると思うので、今はまだ珍しい技術をドローンショーとして見せることで認知を拡大して、技術的に認めてもらう必要があります。
例えば、医科歯科大の病院に入院していて、なかなか外出できない子供たちに、クリスマスのイベントとしてドローンショーを開催するといったことを提供できればいいなと思っています。」
それに対し益氏は、「医療そのものがどんどん変化していて、アートやエンタメを通じて、安らぎを与えることが重要視されるようになってきた」と答えています。
続けて、山本氏は、
「ドローンを、平時はドローンショーというエンタメとして使用、有事の際は避難灯として使用する、などといった平時と有事の使い分けができるようになればと考えています。
これを実現するためには、普段から空を見る訓練をする必要があり、空を見れば何かが現れるという意識を持たなければなりません。
ただ訓練をするとなると難しいですが、ドローンショーを通してそれを提供できれば良いなと思っています。」
とコメントしました。
それに対し橋爪氏は、「それはまさにフェーズフリー(平時と有事を区別せずに同じものやサービスを通常時と災害時に活用する考え方)と言われていて、ものづくりの業界でもフェーズフリーが重要になっています。」と答えています。
株式会社スワニーは3週間で500機のドローンショー用機体を制作

橋爪氏が代表を務める有限会社スワニーは、3週間で500機のドローンショー用機体を制作しました。
有限会社スワニーは長野県伊那市にあり、「3Dデータを駆使してアイデアを迅速にカタチにする製品設計会社」で、設計から量産までをスピーディーかつ高品質で製造しています。
2022年に開発されたドローンショー専用機「unika」、そしてドローンショー向け国産ドローン「DSJ MODEL-X」は、株式会社ドローンショー・ジャパンと有限会社スワニーとの共同開発で製造されたものです。
最新のデジタル技術と生産技術の力を活かし、株式会社ドローンショー・ジャパンを支えています。
対談で有限会社スワニー橋爪氏は、最後に
「3週間で500機製作できる会社は弊社(有限会社スワニー)しかないと思います。
今後は更にパワーアップして、ドローンショー・ジャパンを支えていこうと思っています。」
とコメントしています。
まとめ
最後にまとめとして、益氏は次のようにコメントしました。
「山本さんには、ドローンショーをどんどん大きくしていくことを期待しています。
エンタメは学問を動かすという言葉の通り、エンタメの力を日本全体に伝えていってほしいなと思います。」
それを受けて、山本氏は次のようにコメントしました。
「僕たちも小さくまとまる気は一切なくて、それはビジネスとしてお金を稼ぎたいという話ではなく、エンタメを通じてどれだけ技術的にその時代を作っていけるかということだと思います。
そして、それをどのくらいの人に知ってもらって、次の時代を感じてもらえるか、その研究開発に積極的に投資し続けたいです。
さらに、日本だけではなく世界に飛び出して、メイドイン・ジャパンを見てもらうというのが僕の野望であり夢になります。」
このようにドローンショー・ジャパン代表取締役山本氏は、日本だけではなく世界中にメイドinジャパンのドローンショーを見てもらいたいという夢を語りました。