2025年1月22日(水)幕張メッセにて、「ドローンショー業界の今と未来」をテーマにした1日目のトークセッションが実施されました。
このイベントは、第12回ライブ・エンターテイメントEXPOに株式会社ドローンショー・ジャパンが出展して行われたトークセッションで、同日夜にはイオンモール幕張新都心にて、500機のドローンによるドローンショーが開催されています。
本記事では、「ドローンショーにまつわる知的財産権秘話」をテーマに、株式会社AI SamuraiのCEOであり、弁理士法人白坂の創業者である白坂一氏と、株式会社ドローンショー・ジャパンの代表取締役山本氏の対談をまとめています。
AI Samuraiとは
『株式会社AI Samurai』は、東京都千代田区にある人工知能技術の開発および人工知能技術製品を販売している企業です。
代表取締役は白坂一氏で、『AI Samurai』という生成AIの技術を使った特許申請支援ツールを開発し、販売しています。
『AI Samurai』は、調査や手続きに時間のかかる特許申請業務を、AIによってサポートするシステムで、先行調査や特許文書の作成にかかる作業負担を軽減してくれます。
株式会社ドローンショー・ジャパンの知的ポートフォリオ
株式会社ドローンショー・ジャパンの知的ポートフォリオの一覧は、以下の通りです。
カテゴリー | 内容 |
特許 | 演出パターン生成装置、演出パターン生成方法及び演出パターン生成プログラム(第7538562号) |
空間ディスプレイ装置(第7599252号) | |
飛行体用持ち運び具(特願2024-78226) | |
商標 | 企業ロゴ(第6408165号、第6714374号) |
商標(文字のみ) | ドローンマッピング(第6710841号) |
ドローンライトショー(第6755431号) | |
funtech(第6858859号) | |
マジックドローンショー(第6883177号) | |
低空ドローンショー(商願2024-099358) | |
低空飛行ドローンショー(商願2024-099359) | |
DSJモデル(商願2024-100396) |
ドローンショー・ジャパンが取り扱っている知的財産権の活動
ドローンショー・ジャパンが取り扱っている知的財産権の活動について、白坂氏は次のようにコメントしました。
「『ドローン』や『ショー』などのわかりやすい単語の場合は、特許取得の難易度が高くなります。
さらに、ドローンの技術自体は何年も前からあるので、『ショー』という言葉と組み合わせてどのようにしてショーに特化した形にできるか見つけ出していくということが重要です。」
ドローンショー・ジャパンは自社で機体を開発・製造しているため特許を取りやすい
自社で製品の開発・製造をしている場合は特許が取得しやすいのかという点について、白坂氏は次のようにコメントしました。
「ベンチャー企業の場合は特に、社長の将来概念が重要になってきます。
5年後10年後、会社の方向性のビジョンがあるかや、自社の技術の積み重ねがあるか、社長のアイディアがあるか、そういった点があると特許が取得しやすくなると思います。」
スタートアップ企業の知的財産権の重要性
スタートアップ企業の知的財産権の重要性について、白坂氏は次のようにコメントしました。
「スタートアップ企業の場合は、大企業と違って予算が限られていることが多いかと思います。
しかし、知的財産権だけに予算を割けないとしても、しっかり取り組んでおくことが重要です。」
ドローンショー・ジャパンの知的財産権の保護についての取り組み
ドローンショー・ジャパンの知的財産権の保護についての取り組みについて、山本氏は次のようにコメントしました。
「工業大学出身ということもあり、もともとものづくりが好きで、20代のころからベンチャーのスタートアップ企業にいましたが、特許取得や知的財産権の保護については後回しにしてしまっていました。
持っている技術を守っていかなければならないという思いはあったものの、誰に相談したら良いのかも分からず、最初の一歩を踏み出せませんでした。
相談したとしても理解が難しく、結局何をすればいいのかわからないということが続いていたのですが、白坂先生と出会い、やっと実行に移せているという状態です。
白坂先生との出会いは、ドローンショー・ジャパンの会社創業の地である石川県金沢市に、特許取得の必要性というテーマでセミナー講師として来られていたときでした。
そのときに、白坂先生に具体的な相談をしてみたら、特許取得できると思うという返答を頂いたので、そのまま話を進めていきました。」
白坂氏は石川県能美市にある北陸先端科学技術大学院大学の出身で、現在は教授として授業も行っています。
そのため、石川県でセミナーをする機会があり、その時に白坂氏とドローンショー・ジャパン山本氏が出会う機会があったとのことです。
白坂氏は次のようにコメントしています。
「ドローンの機材については、昔から特許申請がよくありましたが、ソフトウェアと機械との融合や、イベントに特化した特許についての申請は意外に少ないので、その部分にフォーカスして特許申請しました。」
大枠の「ドローンショー」などの特許申請は難しいが、申請が少ないイベント特化の特許やソフトウェアと機械の融合に特化した特許をドローンショー・ジャパンと白坂氏は狙ったと話しています。
2024年8月に特許を取得した花火×ドローンショーライトのシンクロ演出技術
ドローンショージャパンが、2024年8月に特許を取得した花火×ドローンショーライトのシンクロ技術について、山本氏は次のようにコメントしています。
「花火大会でドローンショーを演出として組み込むということは全国的に広がっていますが、今後は、音楽を起点にして、花火とドローンの演出を完全にシンクロさせて一つの作品を作るというのが必要になってくると思っています。
そこで、花火とドローンを同時に演出する演出パターン生成装置について、生成方法を一通り特許申請しました。
正直に言うと特許取得できると思っていなかったのですが、取得できたので良かったです。」
また、白坂氏は次のようにコメントしています。
「今回のケースはスムーズに取得できましたが、特許は技術論文と同じで、6割から7割は申請しても却下される世界です。
最初に山本社長と面談したときに、『ドローンで音や花火を使ってディスコみたいなことがしたい』と言われ、これはおもしろそうだなと思い、一緒に取り組ませていただきました。
ベンチャーにとって社長のアイディア力や企画力は一番重要です。
社長が将来やりたい方向性の権利を先に取るというのが特許だと考えています。
知的財産権は自社を守る権利であり、相手を攻撃する権利でもあるので、地雷のようにたとえられることがあります。
社長の進む方向性にあわせて、どこに地雷を置くかというのが重要なポイントの1つです。」
さらに、知的財産権や特許について意識していることについて、山本氏は次のようにコメントしました。
「ドローン自体にはそこまでエンタメ性はなく、ただLEDライトを搭載した機会が飛んでいるだけにすぎません。
重要なのは、この照明機器を使って何を表現したいか、どういう効果を生み出したいのか、そういうことをどんどん発明していく必要があり、その延長線上に特許取得があると考えています。
また、白坂先生から聞いてなるほどと思ったお話ですが、特許は自分たちの権利を守りたいというだけではなくて、そもそもの成り立ちは世界中でたくさんの人たちに使ってもらいたいという考えが大前提にあります。
ただし、発明した人や会社が正当な利益を得られないと、新しい発明は生まれなくなります。
発明した人が世界のために使ってほしいものを開放するというのが特許の考え方なので、自分たち以外に使わせないという思想ではやりたくないなと思っています。
日本中でこの技術が使われたドローンショーが見たいという考えです。」
花火×ドローンショーライトのシンクロ演出技術を他社が利用すると特許侵害になる可能性がある
花火×ドローンショーライトのシンクロ技術を他社が利用すると特許侵害になる可能性があるのかという点について、白坂氏は次のようにコメントしました。
「特許を持っている会社の許可を得ず技術を使用した場合、特許権の侵害になる可能性があります。
大きく分けると2つのパターンがあり、1つは現在から未来、もう1つは現在から過去の場合です。
現在から未来の場合は、差止請求といって今後使用させないという対応になります。
現在から過去の場合は、損害賠償でお金を支払っていただくという対応です。
知的財産を守りつつ、特許侵害にならないためには、ライセンスの対価をお金でいただくということになります。」
また、特許についての問い合わせがドローンショー・ジャパンにくるかという点について、山本氏は次のようにコメントしました。
「現状は、こういった場面でドローンショーができますかという相談の問い合わせが多くなっています。
特許のことについてはご存じでない方がほとんどだと思うので、こういう権利を持っているんだというのを覚えておいていただいて、まずは気軽にご連絡いただければと思っています。」
ドローンショーを開催したい方、自社でドローンショーを飛ばす際はドローンショー・ジャパンに一度ご連絡ください。
ドローンショーの可能性や将来性
ドローンショーの可能性や将来性について、白坂氏は次のようにコメントしました。
「ドローンショーは新しいメディアだと考えていて、ドローンならではの伝え方や与えられる印象が新しい文化になると思います。
山本社長に、なぜ石川県でベンチャー企業をやるのか質問したことがありました。
石川県はなかなかベンチャー企業が育たない場所だからこそ、新しいことをやって創業したいという山本社長の話を聞いて、地方の産業のために頑張る気持ちを持って、最後まで成し遂げるという意思を持つのがいいなと思いました。」
白坂氏のコメントに対し、山本氏は次のようにコメントしました。
「地方でやっているということと、もう一つは自社開発にこだわっています。
単純にコストの話ではなく、日本国内で受注して製造してくれる会社があれば、経済が国内で循環することになるので、お金が回れば回るほど価値を生み出せます。
円安なので国産の方が安いというコスト面のメリットもありますが、そうでなかったとしてもできるだけ国内生産で作っていきたいと思っています。
特許に関しても、自分たちの権利を主張して使わせないということをやりたいわけではなく、正当な発明者には正当な対価が得られて、それが世の中のためになればいいという考えです。
ドローンショーを使った連携や新しい取り組みがどんどん生まれてくる過渡期なので、権利も含めて、どんどん事業として力強く成長していきたいです。
そして、いずれは国内に限らず、世界に羽ばたいていけるような企業になりたいと思っています。」
特許が秘める可能性
特許が秘める可能性について、白坂氏は次のようにコメントしました。
「会社が成長するにつれて、競合が出てきたい、模倣品が出てきたりします。
そうすると裁判やライセンス交渉が増えてくるので、特許を取得することで事業の安定的な成長を築けます。
続いて、山本氏は次のようにコメントしました。
「白坂先生は北陸先端科学技術大学院大学で教授をしているので、とても技術に詳しく、こちらの言ったことをすぐに理解してくださります。
私からアイディアを出したものに対して、それだけでは特許性が弱いなどをストレートに言っていただけます。
そして、『例えばこういう機能が加われば申請できると思うが、そういう開発はできないか』など助言してくださり、会話のキャッチボールが細かくできて嬉しいと思います。」
それに対して白坂氏は、「ブレスト(複数人で自由にアイデアを出し合い、新しい考え方や解決策を出していく方法)が重要で、AIなども上手く活用するとより発明力が上がっていく」とコメントしています。
まとめ
弁護士法人白坂氏とドローンショー・ジャパン代表取締役山本氏のトークセッションでは、知的財産権という視点からドローンショーが語られました。
株式会社AI Samuraiの代表である白坂氏は、株式会社ドローンショー・ジャパンが持つドローンショーの技術を特許申請する際に協力した人物です。
ドローンという新しい技術を今後さらに発展させていくためには、知的財産権が守られる必要があります。
知的財産権を保護するためにある特許は、技術を使わせないためのものではなく、むしろ使用してもらうためのものであるということでした。
新技術を開発した人や会社の権利が守られ、正当な対価を得られるようになることで、さらに革新的な技術が生まれていき、人々にとってより良い社会になっていくことでしょう。