
ロックバンド Mrs.GREEN APPLE のデビュー10周年を記念するライブでは、最新のテクノロジーを取り入れた演出が注目を集めました。
なかでも話題となったのが、夜空をキャンバスに見立て、楽曲に合わせて1,200機のドローンが描き出す壮大なアート。
国内大手の ドローンショー・ジャパン が技術を提供し、音楽と光のシンクロが観客の心を大きく揺さぶりました。
本記事では、その公演の詳細や演出の背景、そして今後の可能性について紹介します。
デビュー10周年ライブでの挑戦
概要:会場と動員
2025年7月26日・27日、神奈川・山下ふ頭の特設会場で 『MGA MAGICAL 10 YEARS ANNIVERSARY LIVE ~FJORD~』 を開催。
2日間で会場だけで約10万人を動員したと報じられています。
このライブのクライマックスでは、1,200機 のドローンが夜空を舞う「巨大ドローンアート(ドローンショー)」が披露されました。]
演出意図と見せ場
ライブ終盤の楽曲 「StaRt」。この曲は、Mrs.GREEN APPLE がデビューした際の最初の楽曲として象徴性を帯びています。
このタイミングで、夜空に浮かび上がるドローンがバンドのロゴや “THANK YOU ALL JAM’S” の文字を描き、ファンとバンドの絆を象徴的に表現する演出が施されました。
こうして視覚的なメッセージを音楽と同期させることで、ただの演出ではなく“物語性”を持たせた空間体験として昇華させる狙いが感じられます。
ドローンショー・ジャパンによる技術提供

このドローン演出の 制作・運営 を担ったのが、国内ドローンショー企業 株式会社ドローンショー・ジャパン です。公式発表によれば、同社が1,200機によるドローンアートを設計・制御し、ライブ演出を技術面で支えました。
同社はこれまでにも、アニメ・キャラクターイベント、プロスポーツや展示会とのコラボなど、300件を超える実績を持つ演出制作会社として知られています。

自社開発するドローンショー専用機体の技術力を活かし、色や動きの制御精度を高めた演出が可能になったとの報道も見られます。
・安全を最優先にした飛行計画:屋外環境下でのリスクを見据え、風速・風 向など気象条件を継続的にモニタリングしながら飛行ルートを設計。
・楽曲との同期設計:音響スタッフとの綿密な打ち合わせを重ね、楽曲展開に応じてドローンの動きをプログラム。拍やフレーズに合わせて演出が変化するよう制御。
・フェイルセーフ対策など安全設計:万が一の機体障害や飛行逸脱時に備えるバックアップ制御やフェイルセーフモードの導入など、安全性を保つための設計。
(この点は明示的には各報道で「安全性を最優先」などの表現で触れられています)
こうした技術支援があってこそ、ライブとドローン演出の融合がスムーズに実現できたと言えます。
実例との比較:他アーティストやイベントでの事例
Mrs.GREEN APPLE のような大規模音楽ライブでのドローンショー導入は、国内ではまだ少数ですが、先行する事例があります。
- ももいろクローバーZ
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結成15周年記念ソング「いちごいちえ」のMVなどで、拍が高まる部分にドローン演出を取り入れた実績が報じられています。
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ドローンショー・ジャパンは、花火大会やキャラクターイベント、プロスポーツとの演出コラボなど、幅広な領域でドローンを使った演出を手掛けており、その実績が多数あります。
- 海外ロックバンド Oasis
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海外では、英国のバンド「Oasis」がツアー初日の夜空にロゴを描くドローン演出を行った例が報じられており、ライブ空間での空中演出の可能性に注目が集まっています。
こうした比較で見ると、Mrs.GREEN APPLE の事例は国内では規模・演出の精度ともに先進的なものの一つと評価できます。
今後の展望と課題
ポテンシャル
演出の視覚的インパクト強化
ドローンを使ってメッセージやシンボルを夜空に描き出すことで、ライブ演出が “空間芸術” として拡張する可能性。
継続的なメディア展開
ドローン映像をライブフィルムやドキュメンタリー作品に落とし込み、リアルタイム体験を後追いでも再現・拡張できる。
新しい観客体験設計
観客視点だけでなく、ドローン視点の映像や空間演出自体を舞台の一部として扱う設計も可能性として浮上する。
主な課題と対策
気象リスク:風雨、突風、突発的な気象変化が演出を大きく左右。予備日や代替演出案の準備が不可欠。
高コスト体制:機体数、制御システム、セキュリティ、保険など、演出以外の運用負荷が大きい。
許認可・法整備:夜間飛行、大規模飛行、観客近接時の運用などには航空法・自治体規制のクリアが必要。
安全性への配慮:故障や飛行逸脱のリスク管理、機体の冗長性設計、観客との安全距離設定など、構成段階での綿密な対策が必須。
これらをしっかり設計・実行できれば、ドローンショーは音楽ライブ演出の次世代ベース技術となるでしょう。
まとめ
Mrs.GREEN APPLE の10周年ライブに導入されたドローンショーは、単なる映像演出にとどまらず、音楽とテクノロジーの融合によってライブ体験を新たな次元へと引き上げるものでした。
ドローンショー・ジャパンの技術支援により、1,200機という大規模な編隊飛行が可能となり、楽曲「StaRt」とシンクロした演出は観客に強い印象を残しました。
今後は、気象条件や法規制といった課題を克服しながら、ドローン演出がさらに多様なエンターテインメントに広がっていくことが期待されます。
今回の事例は、音楽ライブにおける“未来のステージ演出”の可能性を示した好例と言えるでしょう。