観光業界においては、地域の魅力を効果的に発信し、国内外からの集客を促進するプロモーション活動がますます重要となっています。
特に近年は、SNSの活用やドローンショーといった革新的な手法が注目されており、従来の広告手段に加えて多様なアプローチが求められています。
本記事では、観光プロモーションに活用できる代表的な手法を15種類紹介し、最新トレンドを交えながら、それぞれの特徴や活用ポイントを解説します。
これから観光プロモーションを強化したい自治体や企業にとって、有効なヒントとなる情報をお届けします。
- 観光プロモーションの概要や役割
- 観光プロモーションの手法15選
- ドローンショーが観光プロモーションに効果的な理由
観光プロモーションとは?役割と重要性
観光プロモーションとは、地域の観光資源や魅力を効果的に発信し、観光客の誘致を図る広報・宣伝活動を指します。
その主な目的は、観光客の増加による地域経済の活性化、地域ブランドの確立と認知向上にあります。
現在では、国内外の観光地間での競争が激化し、さらに新型コロナウイルスの影響を受けて減少したインバウンド需要の回復が求められていることから、観光プロモーションの重要性が一層高まっています。
加えて、SNSの普及により情報発信の手段が多様化し、迅速かつ広範囲なアプローチが可能となっている点も、注目すべき要因です。
観光プロモーションの手法15選
観光プロモーションの手法にはどのようなものがあるか、15種類の手法を紹介します。
手法①観光パンフレット・チラシ配布
手法②地元メディア(テレビ・ラジオ)広告
手法③ドローンショー
手法④観光イベント開催
手法⑤PR記事・Webニュース配信
手法⑥SNSキャンペーン・ハッシュタグ活用
手法⑦インフルエンサー・旅系YouTuber起用
手法⑧外国人向け観光プロモーション(インバウンド)
手法⑨観光動画・シネマティック映像制作
手法⑩交通広告(電車・バス・空港等)
手法⑪地域コラボ商品の企画・販売
手法⑫スタンプラリー・デジタルラリー
手法⑬ふるさと納税と連携したプロモーション
手法⑭観光DX(AR・VR体験など)
手法⑮地域住民によるガイドツアー・体験型企画
それではここから、1つずつ詳しく解説します。
手法①観光パンフレット・チラシ配布

観光パンフレットやチラシの配布は、地域内外の人々に向けた基本的な観光プロモーション施策の一つです。
特にローカル向けには、住民自身が地域の魅力を再認識し、観光客への案内役となるきっかけにもなります。
効果的な活用には、ターゲット層に応じたデザインや情報の選定が重要です。
例えば、家族連れには体験型施設の紹介を、若年層にはSNS映えスポットを強調するなどの工夫が求められます。
また、配布場所も観光案内所や道の駅、宿泊施設、交通機関の待合所など、観光客が立ち寄りやすい場所を選ぶことが効果を高めるポイントです。
手法②地元メディア(テレビ・ラジオ)広告
広告の画像.jpg)
地元メディアによるテレビやラジオ広告は、観光プロモーションにおいて高齢層やファミリー層への効果的なアプローチ手段の一つです。
これらの層はSNSなどのデジタル媒体よりも、従来型メディアから情報を得る傾向が強く、信頼性の高い地域メディアを通じた情報発信は高い訴求力を持ちます。
特に地元のニュース番組や情報番組、ラジオの地域密着型番組に広告を出稿することで、生活圏に根ざした形で地域の観光情報を伝えられます。
地域の特色や季節ごとのイベントをタイムリーに発信することで、近隣住民の関心を引き、実際の来訪へとつなげやすくなります。
手法③ドローンショー

ドローンショーは、近年注目を集める観光プロモーション手法の一つで、夜空を彩る光の演出により観光地の魅力を効果的に伝えられます。
特に、地域の特色や季節感を取り入れた演出は、観客の記憶に残る体験を提供し、リピーターの獲得や地域ブランドの向上に寄与します。
例えば、2023年8月12日に茨城県取手市で開催された「第68回とりで利根川大花火」では、花火大会のフィナーレとしてスペシャルドローンショーが実施されました。
このイベントでは、500機のドローンが夜空にアニメーションを描き出し、多くの観客を魅了しました。
関東近郊での実施ということもあり、多くの観客が来場し、地域の活性化に貢献しました。

また、2024年11月16日には山梨県山中湖村で「冬の夜のきらめく空 in Yamanakako」が開催されました。
このイベントでは、山梨県内で初めて1000機のドローンと約4000発の花火が共演し、冬の山中湖の夜空を彩りました。
ドローンショーと花火の融合により、観客に新たな感動を提供し、地域の冬季観光の魅力を高めました。
このように、ドローンショーは地域の特色を活かした演出が可能であり、観光プロモーションにおいて効果的な手法となっています。
今後も、地域の魅力を発信する新たな手段として、ドローンショーの活用が期待されます。
手法④観光イベント開催

観光イベントの開催は、地域の文化や特産品を直接体験できる機会を提供する、効果的な観光プロモーション手法です。
特に、地元の食材を活かした飲食ブースや郷土芸能の披露など、地域固有の魅力を前面に出すことで、来訪者の関心を引きつけることが可能です。
また、陶芸や農業体験、伝統工芸のワークショップといった体験型コンテンツの導入は、参加者の満足度を高め、SNS等による二次的な情報拡散にもつながります。
地域全体の一体感を生み出し、継続的な観光誘致の土台となる点でも、重要な施策と言えます。
手法⑤PR記事・Webニュース配信

PR記事やWebニュースの配信は、観光地の魅力を第三者の視点で伝えることで信頼性を高める有効なプロモーション手法です。
特に外部メディアに取り上げられることで、公的な評価や話題性が加わり、読者の関心を引きやすくなります。
また、記事内に公式サイトや予約ページへのリンクを設けることで、認知から行動への導線をスムーズに設計することが可能です。
SNSやニュースアプリなどと連動させれば拡散力も高まり、幅広い層への情報到達が期待されます。
手法⑥SNSキャンペーン・ハッシュタグ活用

SNSキャンペーンやハッシュタグの活用は、Instagram・X(旧Twitter)・TikTokなどの主要プラットフォームを通じて観光地の認知度を高める効果的な手法です。
特に、ユーザーによる投稿(UGC:User Generated Content)の生成を促すことで、リアルな体験や魅力が多くの人に自然に伝わり、拡散性の高い情報発信が可能となります。
フォトコンテストや限定プレゼントといった企画を通じて参加を促すことで、観光客との接点を増やしつつ、継続的な話題喚起につなげることが可能です。
手法⑦インフルエンサー・旅系YouTuber起用

インフルエンサーや旅系YouTuberの起用は、ターゲット層への直接的な訴求が可能な観光プロモーション手法の一つです。
インフルエンサーが実際に観光地を訪れ、リアルな体験を写真や動画で発信することで、高い共感性と拡散力を生み出します。
たとえば、フォロワー数十万人を持つ旅系YouTuberが温泉地を紹介した際には、動画公開後に宿泊予約が急増した事例もあります。
視聴者やフォロワーはインフルエンサーの発信に信頼を寄せており、認知拡大から来訪促進まで幅広い効果が期待されます。
手法⑧外国人向け観光プロモーション(インバウンド)
の画像.jpg)
外国人向け観光プロモーション(インバウンド施策)は、訪日観光客の誘致において欠かせない取り組みです。
まず基本となるのが、英語や中国語、韓国語など多言語での情報発信です。
観光地の魅力を正確に伝えるためには、多言語対応のランディングページ(LP)の整備が重要です。
また、訪日観光客が利用するGoogleマップやTripAdvisorといった国際的なプラットフォームにおいて、適切な情報掲載とレビュー管理を行うことで、現地での行動導線にもつながります。
言語・媒体の最適化が集客効果を左右します。
手法⑨観光動画・シネマティック映像制作

観光動画・シネマティック映像制作は、地域の魅力を映像美で表現し、観る人の感情に訴えるプロモーション手法として注目されています。
ドローンやスタビライザーを用いたダイナミックな映像、自然音と音楽を組み合わせた演出により、風景や文化、暮らしの息づかいを臨場感豊かに伝えることが可能です。
映像はSNSや動画サイトでの拡散性にも優れており、国内外の幅広い層への認知拡大が期待されます。
視覚表現による記憶への定着も高く、継続的な集客につながります。
手法⑩交通広告(電車・バス・空港等)
の画像-1024x681.jpg)
交通広告は、電車・バス・空港といった移動手段やその周辺施設を活用して展開される観光プロモーション手法です。
通勤・通学・旅行などで多くの人が利用する交通機関において、移動中の接触を狙った広告は高い視認性を持ち、反復的な印象付けが可能です。
駅構内のポスターや車内広告、空港のデジタルサイネージなどを通じて、都市部や遠方からの広域集客を促進する効果が期待されます。
目的地への関心を喚起し、訪問意欲の向上に貢献します。
手法⑪地域コラボ商品の企画・販売
地域コラボ商品の画像.jpg)
地域コラボ商品の企画・販売は、観光地の特産品や文化を活かした限定商品を通じて、来訪者の関心を高めるプロモーション手法です。
地元企業やクリエイターとの連携により、地域ならではの魅力を形にし、記憶に残る土産や体験価値を提供できます。
観光地への愛着や再訪意欲の向上にも寄与し、購入を通じた経済効果も期待されます。
また、SNSでの発信を促すデザインや限定性を意識することで、情報拡散による新たな集客のきっかけにもつながります。
手法⑫スタンプラリー・デジタルラリー

スタンプラリー・デジタルラリーは、観光地を巡ることで参加者に特典や景品を提供するプロモーション手法です。
従来のスタンプラリーに加え、スマートフォンを活用したデジタルラリーが普及しており、観光客は指定されたスポットを訪れ、QRコードを読み取ることでスタンプを集めたり、ポイントを獲得したりします。
この仕組みは、観光地の回遊性を高め、滞在時間や消費を促進する効果があります。
また、参加者のSNS投稿を促すことで、観光地の認知拡大や情報の拡散にもつながります。
手法⑬ふるさと納税と連携したプロモーション

ふるさと納税と連携したプロモーションは、地域への寄付を通じて観光地の魅力を広める手法です。
寄付者には地域の特産品や体験型商品などを返礼品として提供し、観光地の知名度向上や魅力発信を図ります。
この施策は、地域資源を活用しつつ、寄付を通じて地域への関心を高める効果があります。
また、ふるさと納税のプラットフォームで特集されることにより、広範囲な層へのアプローチが可能となり、観光誘致にもつながります。
地域の認知拡大と観光促進の両方を実現できます。
手法⑭観光DX(AR・VR体験など)

観光DX(デジタルトランスフォーメーション)は、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)などの先端技術を活用し、観光体験の質を高めるプロモーション手法です。
現地に足を運ぶ前にVRで観光地の雰囲気を体感できるコンテンツや、スマートフォンを通じて史跡や施設の情報をARで表示する仕組みなどが導入されています。
これにより、来訪前後の関心喚起や情報提供がスムーズに行えるほか、話題性やエンターテインメント性を備えた新たな観光価値の創出が可能となります。
手法⑮地域住民によるガイドツアー・体験型企画

地域住民によるガイドツアーや体験型企画は、地域ならではの視点や物語性を活かした観光プロモーション手法です。
住民が案内役となることで、観光客に対して親しみや深い理解を提供し、観光地の魅力をより立体的に伝えられます。
農業体験や伝統工芸のワークショップ、歴史散策などの体験型コンテンツを組み合わせることで、記憶に残る観光体験の創出が可能です。
地域とのつながりを感じられるこれらの取り組みは、再訪や口コミによる集客にも効果を発揮します。
ドローンショーが観光プロモーションに効果的な理由

ドローンショーは、観光プロモーションにおいて視覚的・体験的・感情的に強く印象を残す「非日常の空間演出」として高い効果を発揮します。
数百台のドローンによる立体的な動きと光の演出は、従来の花火やライトアップとは異なる新鮮な体験を提供し、地域の名産品やロゴ、キャラクターなどを空中に描くことで地域資源の象徴的な表現も可能です。
さらに、SNSやテレビ、新聞などで話題化しやすく、拡散力に優れています。
1回の開催に数百万円程度の費用を要するものの、その映像を長期的にプロモーション素材として活用できる点でコストパフォーマンスにも優れています。
実例として、2023年9月28日(木)に熊本県八代市にて開催された「くまモンポート八代クルーズ船出港イベント」、2024年12月21日(土)・22日(日)に大分県別府市にて開催された「べっぷクリスマスファンタジア2024」、2024年6月2日(日)に神奈川県横浜市にて開催された「第43回横浜開港祭」では、イベントの一環としてドローンショーが行われ、多くの観客を魅了し、SNSに動画をアップし拡散される様子も見られました。
斬新かつ高品質な演出が求められる現代において、ドローンショーは有力なプロモーション手法の一つです。
まとめ
観光プロモーションは、地域の魅力を可視化し、観光客の誘致や地域ブランドの確立を図るための重要な施策です。
デジタル技術の進展により、SNSキャンペーンやインフルエンサーの活用に加え、ドローンショーのような視覚的インパクトのある手法も注目を集めています。
特にドローンショーは、空中に表現することで非日常体験を演出し、SNSやメディアでの話題化を通じた拡散力にも優れています。
一方で、パンフレット配布やスタンプラリーなど従来の手法も、地域特性に応じた展開で根強い効果を持ちます。
今後は多様な手法を効果的に組み合わせ、持続可能な観光振興を目指すことが求められます。
特に地域住民や関係者との連携を深めながら、来訪者にとって魅力的で記憶に残る体験の提供が重要となります。