2025年1月24日、幕張メッセにて、「ドローンショー業界の今と未来」が分かる3日目のトークセッションが実施されました。
このイベントは、第12回ライブ・エンターテイメントEXPOに株式会社ドローンショー・ジャパンが出展し、行われたトークセッションで、同日夜にはイオンモール幕張新都心にて、500機のドローンによるドローンショーが開催されています。
本記事では、「電通が語る、事業パートナーとしてのドローンショー・ジャパン」をテーマに、株式会社電通の上野氏と金林氏、そして株式会社ドローンショー・ジャパン代表取締役の山本氏の対談をまとめています。
ドローンショー・ジャパンが誇る最新技術
株式会社ドローンショー・ジャパンは、日本国内で唯一、ドローンショー専用機「DSJ MODEL-X」を開発・製造する企業です。
国産ドローンを使用することで、安定した品質管理と迅速なサポートが可能になり、企業のマーケティング施策において大きな強みとなっています。
さらに、独自の制御システムやソフトウェアを駆使し、高精度なフォーメーション飛行やリアルタイムの映像演出を可能にしています。
ドローンショー・ジャパンと電通が取り組む『Soar』プロジェクトの概要
低空経済活性化プロジェクト『Soar』とは
「Soar」は、近年マーケティング分野で注目が高まる低空経済※2を活用し、LEDドローンによって新たな空間価値を生み出し、多彩な活用シーンを創出することを目的としたプロジェクトです。
電通のマーケティングノウハウと、ドローンショー・ジャパンの豊富な実績・技術力を融合させることで、企業のプロモーション活動や地域観光の新しいソリューションを提供していきます。
※2高度1000メートル以下の低高度空域で行われる経済活動全般のこと。ドローンによる宅配便配達、空飛ぶタクシー、農業用ドローンなどが含まれる。
低空域(高度1000メートル以下)を活用し、新たな価値を創出
高度1000メートル以下の空域を活用する「低空経済」は、中国や北米を中心に急速に広がっています。
日本国内でも、企業のマーケティングや地域観光においてLEDドローンの活用が進みつつありますが、現在のところドローンショーのような単発イベントが主流です。
しかし、法規制や天候の影響を受けやすいことから、他のマーケティング施策との連携や効果検証に課題があるのが現状です。
『Soar』のサービス提供内容

『Soar』のサービス提供内容は、下記の通りです。
- 1.SNS広告連動型パッケージ
- 2.サンプリング連動型パッケージ
それではここから、Soarが提供するサービス内容を詳しく解説します。
1.SNS広告連動型パッケージ
ドローンショーの開催に加え、SNS広告の運用やライブ配信を組み合わせたプロモーションプラン。
X社の広告サービス(Amplify)と連携し、ドローンショーと同時に広告を展開します。
さらに、広告出稿費の割引も適用可能となっています。
2.サンプリング連動型パッケージ
ドローンショーとリアルイベントでのサンプリングを融合させた一体型プロモーションプランです。
空中に表示されるQRコードを活用し、クライアントの商品PRと会場での試供品配布を同時に実施。これにより、相乗効果を最大化します。
さらに、観客の歓声をデータとして分析し、プロモーションの効果を可視化します。
電通としてドローンショーを進めて行く上で重要視していること
電通としてドローンショーを進めて行く上で重要視していることは、以下の3つの項目があります。
- クリエイティビティ
- オペレーションの安全性
- マーケティング
効果測定ができるかが重要で、ポスターにQRコードを掲載してもスルーされがちですが、空中にQRコードを表示すると、読み取る人が増えます。
誰が来場し、誰がコンバージョン(CV)したのかを計測できる仕組みとして、電通はBtoB向けのサービスを提供しており、来場者のデモグラフィックデータを把握することが可能です。
また、電通と提携しているさまざまなパートナー企業と連携することで、人流分析ができ、どのような人がどのくらい滞在したのかをデータとして取得できます。
これらのデータを活用すれば、クライアントに対して「あなたのドローンショーには、こうした属性の人が来場しました」とフィードバックすることができます。
私たちは、これらをSoarとして提供できると考えています。
SOARプロジェクトにドローンショー・ジャパンを選んだ理由
SOARプロジェクトにおいて、ドローンショー・ジャパンを選定した理由を電通ドローンプロジェクト代表上野氏は、次のように語っています。
まず、日本国内での展開という観点だけでなく、国産ドローンを製造している企業であることが大きな要因です。
また、社会貢献や地域貢献、雇用促進など、社会的な取り組みを積極的に行っている点にも魅力を感じました。
私はこれまで、ドローン市場や産業の発展に貢献するために、電通を通じて空の領域の可能性を広げることを目指してきました。その中でも、特に親和性が高いのがマーケティングコミュニケーションの分野です。
以前からドローンショーという技術自体は存在していましたが、従来はコストの問題からキャンペーン予算に適合しづらい面がありました。しかし、ドローンショー・ジャパンはオペレーション面で工夫を凝らし、キャンペーン予算内で実施可能な柔軟性と拡張性を備えている点に惹かれました。
さらに、実際にドローンショーの現場を視察した際、一生懸命にドローンのチェックやバッテリー交換を行うスタッフの姿を見て、「この会社となら一緒に仕事ができる」と確信しました。
引用元:上野氏のコメント
また、チーフテクニカルディレクターの金林氏は、SOARプロジェクトにドローンショー・ジャパンを選んだ理由を次のように語っています。
テーマパークでの仕事を通じて、働きやすさを感じたことも選定の大きな理由の一つです。
実際のドローンショーの運営では、緻密な調整が求められ、ドローンを特定の位置に正確に配置する技術はまさに神業です。
最初はズレが生じることもありましたが、スタッフとともに試行錯誤を重ね、最終的には素晴らしいパフォーマンスを実現できたことが、最終的な決め手となりました。
これらの理由から、SOARプロジェクトにおいてドローンショー・ジャパンと共に歩むことを決定しました。
引用元:金林氏のコメント
ドローンショーによる効果測定
現在、ドローンショーを活用した事業は、開発フェーズにあります。
特に企業のプロモーションやブランディングといった広告的な活用については、大手広告代理店が得意とする領域ですが、一つの作品を東京で実施するのと、地方(例えば滋賀県)で実施するのとでは、効果や反応が大きく異なります。
そのため、単に「ドローンショーを実施すれば成功する」という売り方ではなく、地域ごとの特性に応じた最適なプランニングが求められます。
加えて、企業に納得してもらうためには、ドローンショーの実施効果を明確に示すレポートも不可欠です。
今後は、こうした効果測定の仕組みを含めたサービス開発を進め、企業が納得できる形でドローンショーの価値を提供できるようにしていきたいと考えています。
まとめ|SOARについて
ドローンショーは「ショー」と名付けられていますが、単なる特別なイベントにとどまらず、日常的に空を見上げればそこにある存在になってほしいと考えています。
現在、多くの人がスマホを通じてコンテンツを楽しみ、個々のメッセージを受け取っていますが、ドローンショーを通じて空を見上げ、共通の体験をシェアすることで、新しいコミュニケーションの形を生み出せるのではないでしょうか。
ドローンショーは、みんなで楽しめる新たなメディアとしての可能性を秘めています。
私(金林氏)自身、現在はドローンショーについて専門的に語っていますが、1~2年前まではメタバースを中心に開発を行っていました。
ARを活用し、空間にデジタルオブジェクトを表示させる技術にも取り組んでいました。
それらの技術は今でも有用で、例えば商品をARで表示して確認するなど、多くの場面で活用されています。
しかし、デジタルだけでなく、実際に目の前で何かを体験したいという欲求が生まれるのは自然なことです。その願いを実現できるのが、まさにドローンショーです。
スマホ越しではなく、実際に目の前で見ることで得られる感動は格別です。
Apple Vision Proのようなデバイスも素晴らしい体験を提供しますが、まだ普及しておらず、マーケティング用途としては現実的ではありません。
その中で、誰もが直接体験できるドローンショーは、視覚的なインパクトと共有体験を生み出せる非常に魅力的な手段だと考えています。
私たちはドローンショーを活用し、企業のイベントやキャンペーン、新たなエンターテイメントを創出することを目指しています。
ぜひ実際にドローンショーを体験し、その感動を周囲の人と共有していただければと思います。